日本の風水は日本風
風水は、おおまかに分けて日本風と香港風、台湾風の3つがあります。そして様々な流派があり、意外と真逆のことが吉となったり凶となったりすることもあるのです。日本における風水は、中国の風水とはかなり多くの違いがあります。なぜなら、先ほども紹介したとおり現在の完成された「風水」が日本に輸入される以前、つまりは未完成の、発展途中の風水が日本に伝えられ、日本にあった形式に変化したからです。
それでは日本に伝わり発展した風水、陰陽道や家相などと呼ばれるそれと中国で完成した風水のどちらが優れているのか、正しいのかというような議論はナンセンスです。例えばこれは平安京と平城京は、風水に基づいた都市設計がなされているという話は有名ですね。ですがどこが風水なのか、というと本来の風水には合致しない箇所も多く、四神相応の使い方も日本独自のものになっています。平安京や平城京が風水都市だというのは、正しいとは言い切れないのが本当のところなのです。
風水の元になっているもののひとつは、経験則です。多くの人が暮らしやすい、気持ちのいい環境が、吉とされているわけです。ですから、風水に沿っているからという理由で、不便さ、使いにくさが出てくるのであればそれはそもそも風水に合致していない作りだということです。日本で言われる、鬼門などのように、特定の方位に吉凶を結びつける考え方はもともと風水とは異なり、たまたま日本ではそうした方位付けを行った設計モデルが上手くいき、それが広まったということになります。迷信や占いだと考えて、風水を全く考えずに作った家が、実は風水的にも優れていた家になった、ということは有り得るわけです。日本風の風水は、日本の風土に併せて変化したものなのです。
元となる理論や思想は一緒でも、発展に差があったわけで、日本で風水と呼ばれる物が中国のそれとは異なることになったのです。ただ、基本的には思想ですから、香港風では凶、日本風では吉となる物があれば、その理由を考えることが大事になります。